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@media print{.ngprint {display:none;}}がむしゃらにペダルを回す日々。
激坂を何度も上り、両腿はパンパン。
カットがかかると同時に倒れ込み、酸素を吸い込む。「こんなにキツいと思わなかった」と一瞬思ってしまうほど、過酷な撮影が続く──。
 映画弱虫ペダル』の自転車シーンは、ほとんどが役者たちによるものだという。

取材のなかで何度も「キツかった」とボヤく伊藤健太郎は、どこか楽しげだ。
仮編集した映像を見たばかりの彼からは、感動と興奮の余韻が伝わってくる。
「(吹き替えを使わず)自分でできるかぎりのことはやりたい」をモットーとする伊藤は、『弱虫ペダル』で改めてその大切さを確信したようだ。
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取材・文 / とみたまい 撮影 / 増永彩子
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◆原作を実写化する際に“生身の人間が演じる”ことの意味を出したい。

ーー 緊急事態宣言が解除されて撮影が再開され、先日無事にクランクアップされた(※取材は6月下旬)とのことですが、いまのお気持ちは?

約2か月ぶりの撮影で、「よし、エンジンがかかってきた!」と思ったら終わってしまったので……いままでに感じたことがない不思議な感覚でした。でも、本当に過酷な撮影だったので、撮りきれたことはすごく嬉しかったです。2か月空いていた間に編集も進んでいて、アフレコのときに仮編集されたものを見せていただきましたが、あれだけキツい撮影だったけど、やれてよかったなと実感しました。

ーー 仮編集されたものを見た感想は?

自転車で走っているときはどういう画になっているのか、まったくわからなかったんです。言われた通りに、がむしゃらに走ることしか僕らはできなかったので、どんな画になるかなんて考えてる余裕もなかったというか。
だから、初めて画として見た時は、めちゃくちゃ鳥肌が立ちましたし、目頭が少し熱くなりました。僕らも本気で自転車を漕いでいたし、必死だったので、すごい感動しました。

ーー アフレコではその熱量を再現しないといけないので、大変だったと思います。

実は昨日だったんですよ、アフレコ。なので、いま喉が痛いですね。ははは! ずっと叫んでいたので……撮影時のいろんなことが蘇ってきましたし、すごくアツいアフレコでした。

ーー 伊藤さんが主演される舞台『両国花錦闘士』のビジュアルが発表されたときに、「太腿の筋肉がすごいと話題になっていましたが、あれは弱虫ペダル』効果なのでしょうか?

そうですね。元々僕、足は特に筋肉質で太いんですが、さらに『弱虫ペダル』で毎日のように自転車を漕ぎまくって、激坂を上っていたのでパンパンになっていたんだと思います
使う筋肉がこれまでとは違うし、いままでやってきたスポーツのなかでもトップレベルでキツかったですね。

ーー ダンシング(=立ち漕ぎ)も堂に入っていて、かなり乗りこなされている印象でしたが、どのようなトレーニングをされたのでしょうか?

競技用自転車って、足がペダルから外れないように“クリート”というのをはめる作業があるんですが、それの脱着から始まって、ある程度できるようになったら実際に自転車に乗って、坂を上ったり下ったり、ダンシングの練習をしたりしていました。
あとは、みんなで一緒に走って、並び位置を変える“ローテーション”の練習をしたり……本当に初歩の初歩からみんなでやっていきました。

ーー 今作もそうですが、漫画原作やアニメがある作品を演じる際に意識していることはありますか?

原作リスペクトしつつ、原作をまったく意識しないように心がけています。もちろん、原作から思いっきり外れたものを演じてしまうことがないように、最低限の情報は入れますが、今回の『弱虫ペダル』に関しても、キャラクター設定を見て、原作の最初のほうしか読んでいません。漫画を実写化するときに、僕は“生身の人間が演じる”ことの意味みたいなものを出したいと思っているんです。今回の『弱虫ペダル』は、そういったところが特に出ているんじゃないかなとは思っていて…。

ーー というと?

息遣いだったり、汗だったり、漫画のコマとコマの間を僕らは演じることができるので、そういったものを大事にしたいと、原作がある作品を演じるときには常に思っています。そうやって、原作の漫画のなかにある世界を飛び越えられたらいいですよね。その瞬間がやっぱり僕は好きなので、原作はあんまり意識しないようにしています。

ーー 『スカーレット』の陶芸シーンもご自身で陶芸をされていたように、「自分でできることは、なるべく自分でやる」という伊藤さんですが、今回も自分で自転車に乗ったことで、役作りの手助けになる部分は大きかったですか?

そうですね。でもほんと……めちゃくちゃキツかったんですよ(笑)。何回も心が折れそうになるくらいキツくて「まだ?」みたいな瞬間はありましたが、後から聞いた話、それは三木(康一郎)監督の作戦だったみたいです。
できるだけ自分たちでやらせることで、撮れる画があると思っていらっしゃったようで。ほぼ吹き替えナシで乗ってたので、ほんっとにキツかった……。

ーー 山を上るところも吹き替えナシですか?

そうですね。ほぼナシです。自転車シーンの撮影が終わったら、倒れ込んで酸素を吸ったり(笑)。みんな死ぬ気でやっていたし、「こんなにキツいのか」と思ったりしましたけど、キツさを超える楽しい瞬間もあって……カメラが回っていないところですが、キツいシーンを乗り越えた後にみんなでハイタッチしたりしていました。
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ーー 現場で撮影している際、どんな瞬間にチームワークを強く実感しましたか?

自転車を漕ぐシーンの本番直前に、「このまま全員でスタートできる? できない?」って、みんなが気を使い合うんですね。
クリートが全員ちゃんとはまったかとか、仮にはまってない人がいたら、スタートがかかってもその人の準備が整うまで全員で待ったりとか。自分もやってみて「難しい」ということがわかっているからこそ、気の使い合いができて、すごいチームワークだなと思いました

吹き替えではなく、自分でできるかぎりのことをやることが大事だと改めて感じた。

ーー 伊藤さんから見た、主演(小野田坂道役)の永瀬 廉さんの印象は?

永瀬くんは身体が華奢じゃないですか。しかも、ロードバイクよりももっとキツいママチャリで、それでも必死に食らいついて頑張っていたので、座長としてのその姿に僕らも引っ張ってもらった部分はすごいあると思います。
僕ら演者たちもスタッフチームも、永瀬くんの背中を見て気持ちが高まっていったんじゃないかと思います。
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ーー 鳴子章吉役・坂東龍汰さんの印象は?

ちょっと……うるさい人ですね(笑)。でも、本当にムードメーカーで“イジられキャラ”みたいな役回りでいてくれたので、坂東くんをイジることでみんなの距離が近くなった部分はありました。そうやって盛り上げてくれた坂東くん……イジってすいませんでした(笑)

ーー そんななかで、ご自身はどんな役割だったと思いますか?

僕は本当に自由にやらせてもらってました。主演が背負わなきゃいけない部分は廉くんが全部背負ってくれてたし……他の現場では年上の方が多いので、僕がイジられポジションになることが多かったりするんですよね。
今日から俺は!!とかは特にそうで、激しくやられるんですが(笑)、そのポジションも今回は坂東くんがやってくれて。

あとは今回、僕は過去に共演したことのある方ばっかりだったのですが、廉くんが「初めて共演する方が多い」と言っていたので、廉くんとみんなの橋渡しみたいな役回りになれたらいいなとは思っていました。
だけど、撮影が始まったら「そんな心配をする必要は全然ないな」と。
主演として廉くんがちゃんと真ん中に立っていたので、全然心配する必要はなかったです

ーー 永瀬さんは伊藤さんについて「すごいクールな印象を受けた」とおっしゃっていました。

はい、そうですね。僕クールです(笑)

ーー 「クールな今泉くんの役だから、現場でもクールだったのかな? 違ってたら恥ずかしいんですけど」みたいなコメントをされていました。

いや、もう間違いなく今泉が憑依していました(いたずらっぽく話す伊藤さん)。ははは! 
意識してたつもりはないんですけど……クールだったのかな? 
でも……撮影がキツかったんで。何回も言いますけど(笑)。はしゃぐほどの体力も残らないぐらいみんなで頑張ってたから、そう見えていたのかもしれないですね(笑)

僕は役によって現場での立ち居振る舞いが変わるとかって、あんまりないと思うんですけど、そう映っていたのであれば、もしかしたらなにかしら自分のなかで無意識に今泉を意識していたのかもしれないですね。自分では意識したことがないので、基本的にはこのまんまのつもりではいますけど(笑)

ーー 永瀬さんとお芝居を掛け合ってみて、印象深かったことはありますか?

永瀬くんが「映画やドラマに出演した経験がそこまであるわけじゃないから、不安な部分がある」って最初に言っていたんですよね。
しかも、三木さんとも初めてで。三木さんって思ったことを全部口に出す方なので、初めてだと結構グサッと刺さったりするんです(笑)
僕も『東京ラブストーリー』でご一緒させてもらって、最初はグサグサ刺さった覚えがあったので(笑)、「廉くん、大丈夫かな?」って思っていたんです。でも、すごく素直で、三木さんから言われたことに対して「はい、わかりました。やってみます!」って、真摯に取り組んでいらして。僕もそれまではアイドルとしての永瀬 廉くんを一番よく知っていたので……実際に現場に立って一緒にお芝居させてもらって、すごく素直で素敵な俳優さんだなって感じました。

ーー 坂東さんについてはいかがでしょう?

坂東くんは……記憶にない。ははは、冗談です! 自分から「こんなふうに演じたい」とか、積極的に提案しているのを見ていても、「やっぱりお芝居が好きな方なんだな」ってすごく伝わってきました。

ーー 過去の敗北を背負った今泉が、自転車に乗る理由を坂道に問うシーンが印象的でした。今泉を演じるうえで、ご自身の経験を掘り起こすようなことはありましたか?

過去の失敗とかを僕はすぐに忘れるタイプなんです。すぐに忘れるんですけど、本当に悔しかった思いってやっぱり残るものじゃないですか。その数少ない、本当に悔しかった気持ちや、うまくいかなかったときの気持ちを思い出した感じはありました。
でも人って……今泉もそうですが、そういった経験があるからこそ強くなれると思うんです。今回、今泉を演じるなかで「今泉が強い理由って何なんだろう?」って考えたんですが、まさに答えはそこにあるんじゃないかなと思いました。

ーー 『弱虫ペダル』に出演したことで、役者として新たに得たものとは?

先ほども話に出てきましたが、「なるべく自分でやりたい」という思いでこれまでもやってきたなかで、改めてその大切さを実感しました。
自転車で激坂を上る経験をさせてもらって……その全部が画面に映っていなかろうが、自分でできるかぎりのことをやるっていうのがすごい大事なんだなって。
やっぱりそれって、画面から伝わってくるんですよね。仮にもし吹き替えでやっていたらと思うと……ちょっと違うんじゃないかなって。そうやって自分のなかでひとつ確たることがあると、演じていくうえでのモチベーションにも繋がってくると思うので、大事なんじゃないかと改めて感じました。

◆役者を続けていくうえで“少年心”はずっと忘れたくない

ーー 多くの話題作、多くの監督に求められている印象の伊藤さん。ご自身の役者としての強みはどこにあると思いますか?

それが……わからないんですよね。それがわかっていたら、もうちょっとそこに集中してラクになれるのかな? って思うんですが、わからないんです。自分がこうやっていろんな作品に声をかけていただけるのはすごく嬉しいですし、ありがたいんですが、自分でも「何で僕が?」って……正直なところ、ピンときてなくて。ひとつあるとしたら、人との距離感が近いのかもしれません。三木監督とは『東京ラブストーリー』でご一緒して、いろんなお話をさせていただけるような間柄にもなれたので。でも……それくらいしか思い当たることはないですね(笑)

ーー 三木監督の現場から学んだことのなかで、特に印象的なものは何でしょうか?

三木さんって思ったことを全部言うんですが、「それ聞きたかった~!」みたいなことってあんまり言わないんですよ。それで……さっきの「できるだけ自分たちでやらせる」っていうのもそうなんですけど、終わった後に言ってくださるんです。そういう意味では、「僕らは監督を信用して演じるだけでいいのかな」って、改めて思えましたね。ほかの監督とご一緒するときも、「信用してやればいいんだ」と思えるようになった感じはします。

ーー 正解がない「芝居」というものを続けていくなかで、何を手がかりに「自分は成長できている」と実感されるのでしょうか?

「考える時間」ですかね。役や作品について考える時間が、昔よりは確実に長くなっているので……自分がやることに対しての責任や、やらなければならないことが昔よりもしっかりと認識できるようになったからこそ、考える時間が長くなったと思うんですが、そういう意味では「ちょっとは成長できてるのかな」と思います。

ーー そうやってご自身が変わっていくきっかけみたいなものがあったのでしょうか?

それぞれの作品でいただくものが多いので、それらを吸収しながら少しずつって感じです。最近だとやっぱり『スカーレット』がすごく大きかったし、初めて主演した『デメキン』でも変わりました。
その時々で思ったり感じたりすることは同じなんですが、深くなってきたというか……もっと核の部分で考えようとするようにはなってきていると思います。

ーー ここから5年くらい先を想像して、人として、役者として、「こうなっていたいな」というイメージはありますか?

いい意味で、あんまり変わっていたくはないですね。もちろん、役者として成長しないといけない部分はたくさんありますし、もっともっと変わらなきゃいけない。でも、人としては変わりたくないなと思います。あんまり大人になりたくないというか(笑)。もちろん、大人にならなければいけない部分もたくさんありますが、楽しいことを「楽しい」、好きなものを「好き」と感じられる“少年心”みたいなものは忘れたくないな。僕、このお仕事ってすっごいそれが大事だと思うんですよ。子どもの頃って好奇心旺盛で、何でも面白く見えたり、何でもカッコよく見えたりするじゃないですか。役者としていろんなものを吸収していくうえで、その感覚ってすごい大事だと思っているので、そういったところは忘れたくないなと思います。

ーー 伊藤さんが仕事をするうえで大切にしていることは何でしょうか?

楽しむことですかね。僕は性格的に、楽しみがないと続けられないので。これは僕の能力かなと思っているんですけど、普通だったらこれぐらい(両手で小さい円を描く)しか楽しみや幸せが感じられないことでも、僕はこれぐらい(大きな円を描く)に感じることができるんです。気の持ちようによって、ちょっとした楽しみをすごく大きく感じられるっていうのは、すごい大事だなと思います。それは仕事だけに限らずですけどね。

ーー 特に最近は自粛期間もありましたから。

余計に感じますよね。何気ない日常って、たぶんすごい幸せなことなんだと思います。そういう意味でも、楽しむことって……生きてくうえでも、仕事をしていくうえでもすごく大事なことだと思います。

ーー 自粛期間に時間ができて、プラスになったことはありましたか?

う~ん……あ、料理の腕が上がりました(笑)。自粛期間中、ずっと自炊していたのですが、美味しい唐揚げが作れるようになりましたね。
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すごい料理上手で、なかでも僕が一番好きなのが唐揚げなんです。
でも、家族でおばあちゃん唐揚げに近いものを作れる人がいなくて。それで僕、自粛期間中に、おばあちゃんに「どうやって作るの?」って電話で聞いて教えてもらって。
それを聞いても最初はできなかったんですけど、何回か試行錯誤しながら作ってみたら、すっごい美味しくできました。

ーー では最後に、今回共演された永瀬さんと坂東さんに向けて、それぞれ一言ずつお願いできますか?
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永瀬くんには「本当にお疲れさまでした」と言いたいです。背負うものが相当あったと思うし、しんどいなかでの長い撮影期間だったのでね。坂東くんに対しては……(かなりの間があって)特にない。ははは!

ーー もう、この一連の流れはネタになっていますね(笑)

ですね(笑)。さっきも坂東くんが来てくれて「先に帰るね、ばいばーい。(コロナが)落ち着いたらさ、みんなで飲みにとか行こうよ!」って言われたんだけど、「行かない」って返しました(笑)。本当に楽しいメンバーでしたね。
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(c)2020映画「弱虫ペダル製作委員会 (c)渡辺航(秋田書店2008

映画『弱虫ペダル』で伊藤健太郎が改めて感じた「自分でできる限りやること」の大切さは、WHAT's IN? tokyoへ。
(WHAT's IN? tokyo)

modelpress編集部)





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掲載:M-ON! Press

(出典 news.nicovideo.jp)


【伊藤健太郎】
伊藤健太郎(けんたろう、1997年6月30日 - )は、日本の俳優。 旧芸名は、健太郎(けんたろう)。東京都出身。aoao所属。 14歳でボン イマージュに所属。雑誌、広告を中心にモデルとして活動し、2014年、ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』で本格的に役者デビュー。演技が注目され、話題を集める。2018年6月30日21歳の誕生日を迎えたことを機に芸名を本名の伊藤 健太郎名義に改名することを発表。
★テラスハウス(2016年2月~フジテレビ、Netfilx)スタジオコメンテーター

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