新型コロナウイルス感染防止のためのおこもりで、テレビドラマの再放送や配信を見続ける日々。
そんななかで土日に再放送している「JIN-仁-」(TBS系)は10年ほど前の作品ながらいまなお胸を打つ。
「JIN-仁-レジェンド」とした特別編が関西(毎日放送)でも再放送が決まった。
「JIN」は現代の医師・南方仁(大沢たかお)が幕末の江戸にタイムスリップ。そこで感染症や癌など重病を現代医学で診ていく。当時より圧倒的に進んだ医学を心得た仁が病を治してしまったら未来が変わってしまうかもしれないと心配しながらも、目の前の生命を見捨ててはおけない主人公の人間愛。
再放送が話題!大沢たかお『JIN-仁-』“コロナ制圧”への決意 …。大沢たかお主演の日曜劇場『JIN-仁-』を再編集した特別編『JIN-仁- レジェンド』(TBS系)が、4月18日から三週連続して土日(毎回3時間全6… (出典:エンタメ総合(FRIDAY)) |
感染症のエピソードはタイムリー過ぎるのと「神は超えられる試練しか与えない」というメッセージがいまの私たちの励みになるというのが表向きの人気のヒミツだけれど、優しさに溢(あふ)れた大沢たかおの演技が絶頂期なのと、坂本龍馬を演じている内野聖陽のギラギラ感との相乗効果で女性ファンのハートを掴みまくっていることも重要ポイントなのである。
時空を超えて、生命の大切さに向き合う大沢たかおを綾瀬はるか(仁の助手役)のように支えたい。幕末時代を颯爽(さっそう)と駆け抜ける内野聖陽、しびれる。どちらも知性派でありながら、紳士的な現代人・大沢たかお、ワイルドな歴史人・内野聖陽。違った魅力が堪能できるのである。
◆「テセウスの船」も。現代人が昔にタイムスリップでヒットのパターン
本放送当時も高視聴率だった「JIN」。たぶん、これが、幕末を舞台にした医療ものだったら、ここまで盛り上がらなかったと思う。現代人が昔にタイムスリップするとヒットするのは、ついこの間まで放送されていて高視聴率を獲得したヒューマンミステリー「テセウスの船」(TBS系)もそのパターンを踏襲している。
主人公(竹内涼真)が自身の子供時代・昭和にタイムスリップ。表向きは、殺人容疑をかけられた父の無罪をはらすミステリーながら、並行して、いまの時代では失われつつある、昭和にまだあった家族のあたたかさを再認識する物語であった。
いまの時代、いきなり昭和の家族を描いてもピンと来ないが、主人公が過去に戻ってそれに触れるというワンクッション置くことで、あら不思議、家族愛がちょっとお高い暖房器具のようにじわじわと体の芯まで温める。現代人役の竹内涼真が、お父さんで昭和人役の鈴木亮平の熱血に次第に影響されていくところも面白さであった。
◆「アシガール」日常を忘れられる設定であるところが良い
現代の視点で過去を見ることで、何か新しいものが見えてくる。
現在、再放送中の「アシガール」(NHK総合 金曜よる10時)も平成の女子高生(黒島結菜)が戦国時代にタイムスリップ。
そこで出会った凛々しい若君(健太郎。現・伊藤健太郎)に恋をして、歴史上では戦で生命を落してしまう彼を救いたいと足軽として奮闘する。
ふたりは歴史を塗り替えてハッピーエンドを迎えるのか否かとドキドキが止まらない。
これもまた、ふつうに戦国時代の武将と農民の身分違いの恋物語であったら、これほどドラマチックに盛り上がらないであろう。
現代のJKが、戦国武将の涼やかな勇ましさに夢中になってしまうところがポイント。
現代だと、馬に乗せてもらうなんていうシチュエーションはなかなかない。
こういう日常を忘れられる設定であるところが良いのである。
◆「いいね!光源氏くん」千葉雄大が“イケメン大渋滞”から抜け出した
「いいね!光源氏くん」(NHK総合 土曜よる11時30分)は日常に“雅(みやび)”がもたらされるドラマ。
これはいま、のきなみ新作の制作が中断されているこの時期、貴重な新作である。
5月2日にこれまでの回(一~四絵巻)の一挙再放送も決まった。
平安貴族・光源氏(千葉雄大)が現代に“タイムスリップ”ならぬ“次元ジャンプ”して来る物語(光源氏は「源氏物語」で描かれたフィクションの人物で、実在の人物ではない事からドラマでは”次元ジャンプ”という表現にしているそう)は、もしも平安貴族が現代に存在したら?というコント仕立てで、烏帽子をずっとかぶっているとか感動すると和歌を詠むとかたわいないおもしろエピソードが数珠つなぎ。
光源氏を家に住まわせているヒロイン(伊藤沙莉)は世間知らずの光源氏に手を焼きつつ、彼の魅力にまんざらではなく、次第に彼との関係に感傷を覚えていく。
そりゃそうで、レジェンドイケメンの光源氏である。
見目麗しいうえ仕草のいちいち魅力的。しかも、現代人がもっていない品や知性がある。
「イケメンが大渋滞」という言葉があるが、近年、イケメンと呼ばれる俳優がいっぱいい過ぎて差別化が難しい。
メガネイケメンとか筋肉イケメンとか演技派イケメンとか刀剣イケメンとか得意ジャンルを持たなくては生き残れない。
たくさんのイケメンに慣れすぎた現代女性が雅なイケメンとしての平安貴族と出会う。
このシチュエーションは確実に萌える。恋愛ものにつきものの恋人との意見のすれ違いも、現代と平安時代の差として描くことで新鮮な物語となるのである。
現代劇だと童顔ゆえに役が限られてしまいがちな千葉雄大が、その童顔を現代人との違和感に置き換えることで大渋滞から抜け出したといえるだろう。
「いいね!光源氏くん」は“三位の中将”に位が上がった頭中将(桐山漣)まで投入(ドラマでは「中将」)。
雅感増量。BL風味も振りまいて大サービスである。
◆「素敵な選TAXI」竹野内豊の謎の存在感、時を司る全能感
ほかに現代人と歴史人の恋を描いた傑作タイムスリップものとしては、現代の高校生(小栗旬)が戦国時代にタイムスリップして織田信長になってしまう「信長協奏曲」(フジテレビ系)がある。
今こそこれを再放送してほしいのだが、フジテレビは「素敵な選TAXI」(フジテレビ系 火曜よる9時)を再放送作として選んだ。
これもまたタイムスリップものだが、近過去と現在の行き来で時間の飛距離が短い。
だが、ちょっとした日常の後悔を過去に戻ってやり直させてくれるタイムマシンであるタクシーの運転手(竹野内豊)は、現代人とはちょっと違った、飄々(ひょうひょう)として謎の存在感、時を司る全能感があって心をくすぐる。
昔はふつーにイケメンだった竹野内豊がこんなふうにちょっとキザな怪しいおじさんとしても活躍する姿を「ビーチボーイズ」(97年 フジテレビ)放送中の20年くらい前の本人が見たらどう思うんだろうか。
と違った意味(それもいい意味)で隔世の感を覚える。
ここで「ビーチボーイズ」を並行して再放送すると竹野内豊のタイムスリップ感が味わえそうとひと妄想。
結局、時空を超えて素敵な運命の人に巡り合う、これがタイムスリップものの醍醐味なのである。
<文/木俣冬>
【木俣 冬】フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など
(出典 news.nicovideo.jp)
【伊藤健太郎】
伊藤健太郎(けんたろう、1997年6月30日 - )は、日本の俳優。 旧芸名は、健太郎(けんたろう)。東京都出身。aoao所属。 14歳でボン イマージュに所属。雑誌、広告を中心にモデルとして活動し、2014年、ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』で本格的に役者デビュー。演技が注目され、話題を集める。2018年6月30日21歳の誕生日を迎えたことを機に芸名を本名の伊藤 健太郎名義に改名することを発表。
★テラスハウス(2016年2月~フジテレビ、Netfilx)スタジオコメンテーター
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